コラム:銀行の装い強まるドーシー氏の米スクエア、大手行には脅威
2 分で読む [ワシントン 2日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米ツイッターのジャック・ドーシー最高経営責任者(CEO)が率いる米決済サービス大手スクエアが、ウォール街の舞台裏にとどまらず、表側にまで活動の場を広げつつある。「BNPL(バイ・ナウ・ペイ・レイター)」と呼ばれる後払い決済サービスを手掛ける豪アフターペイを290億ドルで買収すると1日に発表したスクエアは、銀行の装いも濃くしている。JPモルガン、シティグループあるいはバンク・オブ・アメリカなどとの唯一の違いは、スクエアには歴史的な経緯による重荷も、分厚い規制も、さまざまな過去の不正記録もないという点だ。大手行はこの脅威を真剣に受け止めざるを得ない。 8月2日、米ツイッターのジャック・ドーシー最高経営責任者(CEO)が率いる米決済サービス大手スクエアが、ウォール街の舞台裏にとどまらず、表側にまで活動の場を広げつつある。写真は後払い決済サービスを手掛ける豪アフターペイのロゴ。シドニーで7月9日撮影(2021年 ロイター/Stephen Coates) 以前のスクエアは取引相手の大半が小規模零細企業で、そうした企業がクレジットカード決済に利用できるデジタル手段を提供してきた。しかしアフターペイを買収することで、ドーシー氏はより直接的に消費者をつかまえやすくなる。アフターペイは1600万人の顧客を抱えており、スクエアのアプリ「キャッシュ・アップ」を通じた資金保管・送金サービスを強化する上で、今回の買収は理にかなっている。だからこそスクエアの株価は2日午前に高騰した。第2・四半期売上高が2倍以上に増加したことも株価を押し上げた。 収益面で妙味の大きいクレジットカードの事業を守ろうとしている銀行側にとっては、既に警戒信号がともっている。市場調査会社イーマーケターによると、クレジットカードを使う買い物を信用しない傾向が比較的強い米国の18-34歳では、BNPLサービスの利用経験者は約13%と全世代平均の9%よりも高い。バンク・オブ・アメリカの試算では、BNPL市場は2025年までに最大15倍拡大し、取引額は1兆ドルに達すると見込まれる。クレジットカード会社シンクロニー・ファイナンシャルのブライアン・ダブルスCEOは7月、「業界に存在する全ての金融サービス提供者」が最終的にBNPL商品を提供するだろうと語った。 ただスクエアは、こと大手行に対して特別な脅威をもらす。なぜならフィンテックのみならず、伝統的な銀行業務にも参入しつつあるからだ。大半のフィンテック企業は、顧客の預金取り扱いのためには規制の強い従来型の銀行との提携が欠かせない。これに対して連邦預金保険公社(FDIC)から産業用ローン型免許(ILC)を得たスクエアは従来型のローン商品に加えて、今や独自の当座預金と普通預金の口座サービスも展開している。 スクエアにもいわゆるレバレッジ比率など、金融機関が順守すべき厳しいルールは適用される一方で、大手行が縛られているような煩雑な役所手続きは一部免れる。大手行の場合、商行為に関わるさまざまな不祥事への対処をこれまで迫られてきた事情もある。 もちろん大手行も反撃するだろう。単独で反撃するかもしれないし、あるいはアフターペイのライバルで1月に上場したアファームのような他のBNPLサービス企業と手を組むことを視野に入れるかもしれない。