現金受領100

現金受領100人不起訴 犯罪なぜ見過ごすのか


 おととしの参院選広島選挙区を巡る大規模買収事件で、現金を受け取った100人全員がきのう、不起訴になった。なぜ、そんな非常識な判断に至ったのか、東京地検特捜部は、国民に説明しなければならない。
 この事件では、法秩序を維持する法相を務めた河井克行前衆院議員(広島3区)に、懲役3年の実刑判決が出ている。河井氏は、自民党の新人候補だった妻の案里氏を当選させる目的で、広島県内の県議や市町議、首長ら100人に現金計2871万円を渡したと、東京地裁に認定された。
 前代未聞の事件を起こした河井氏の罪は重い。とはいえ、カネをもらった側を全員不起訴にしたのでは、不公平極まる。特捜部の異例の判断は、国民の理解が得られるだろうか。
 そもそも、受け取った側も罪に問うと定めている公選法に明らかに反している。しかも100人の大半は公判で、河井氏側から渡されたカネは買収目的であったことや、表に出せない違法なカネだったことを認めている。「犯罪」であることを意識していたに違いない。
 それなのになぜ100人全員を不起訴にしたのか。到底容認できない。特捜部は、有力国会議員が現金を無理やり受け取らせた状況などを考慮して、悪質性は低いと判断したようだ。
 確かに、国会議員を怒らせて地元で進む公共事業への妨害を心配したり、逆らえない力関係にあったりした地方議員もいた。ただ、全員に当てはまるわけではあるまい。一律不起訴の理由としては説得力を欠く。
 300万円を受け取った元国会議員秘書や200万円もらったベテラン県議もいる。5万円しか受け取っていない人と同じで良いか、疑問は拭えない。
 呉、尾道、江田島の市議3人は辞職勧告決議を受けても、職にとどまっている。自らけじめをつけられない政治家まで不起訴にした特捜部の判断は、「居座り」容認でしかなかろう。検察がこうした態度では、金権政治の断罪とは程遠い。
 辞職した人の反省の弁を思い起こしたい。「お金を一瞬でも受け取ったら駄目。認識が甘かった」「もらった私がつまらんかった。けじめとして辞めた」
 議員の職に執着する人とは、まるで正反対だ。無理やり渡されて迷惑を被った―など、一方的に渡されたとの主張には反省のかけらも、うかがえない。
 被害者を装っているが、果たして、そうだろうか。違法なカネを渡された段階で通報することはできなかったのか。警察か選管に、こうした買収情報の窓口を設けることを検討してみる必要もあろう。談合事件を参考に、積極的に通報した人間の罪を軽くする仕組みができれば、再発防止につながりそうだ。
 何ら責任を取らずに居座ることで議会をおとしめ、政治不信を強めている。そんな政治家をいつまでも、のさばらせておくわけにはいくまい。特捜部が市民感情とかけ離れた判断を示しても、まだ検察審査会がある。政治家にも厳しく、公平で説得力のある判断が期待される。
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