死の気配漂う血みどろの兵士に、妖気に満ちた宿命の女(ファム・ファタル)――。そこは残虐と怪奇、神秘と官能が渦巻く、あやしい美の世界。恐る恐るのぞきこめば、あらがいがたい危険な魅惑に思わず身震いが。酷暑極まる列島のひととき、背筋も凍る真夏の白日夢に浸ってみてはいかが。
「退廃」「妖艶(ようえん)」「グロテスク」。大阪歴史博物館(大阪市中央区)で開催中の「あやしい絵展」は、そんな言葉で彩られる日本美術の多様な作品群を、一堂に集めた特別展。会場には、江戸末期から昭和初期までの日本画や版画、書籍の挿絵など、前後期合わせて約150件が並ぶ。
Related Keywords