大手出版社参入により電子コミック群雄割拠の時代へ 苛烈するマンガアプリ市場、鍵は「デジタルと紙の"循環"」 | オリコンニュース : vimarsana.com

大手出版社参入により電子コミック群雄割拠の時代へ 苛烈するマンガアプリ市場、鍵は「デジタルと紙の"循環"」 | オリコンニュース


縦スクロールがマンガに臨場感を与える『SMARTOON』(「六本木クラス~信念を貫いた一発逆転物語~」:(C)Kwang jin / KAKAO WEBTOON Studio)
 現在、右肩上がりで成長する電子書籍市場。社会問題にもなった「漫画村」などの海賊版サイトの閉鎖により、正規サイトの利用が増加。市場規模は更なる広がりを見せている。なかでも市場を牽引しているのは電子コミックだ。今や、アマゾンkindleや楽天ブックスのサービス、ピッコマやLINEマンガ、まんが王国などのアプリだけでなく、小学館や集英社などの大手出版社も参入し、群雄割拠の時代に。市場の拡大に比例して、苛烈するデジタルコミックビジネスにおいてどのような生き残り戦略を考えているのか。コロナ禍におけるマンガアプリ市場の現状も併せ、電子マンガ・ノベルサービス『ピッコマ』を運営する、カカオジャパン社長の金在龍(キム・ジェヨン)氏に聞いた。
■コロナ禍で成長が加速 レッドオーシャン化するデジタルコミックビジネスの現在地
 このコロナ禍の“巣ごもり需要”により電子コミックの市場は全体的に伸びている。その平均値は約30%で、ビジネス的に成長している分野だ。そもそも電子コミックの歴史は古く、始まりはガラケー時代。2004年に『コミックシーモア(当時はdocomo向けサービスの『コミックi』)がサービスをスタート。2006年に『めちゃコミック(当時は『めちゃコミックス』)が登場。スマホアプリでのサービスは2013年からで、現在は集英社『少年ジャンプ+』や講談社『マガポケ』など大手出版社も参入。レッドオーシャン化している。
 『ピッコマ』のスタートは2016年4月。当時すでに100以上のサービスがある中で産声を上げた。「その当時のマンガアプリは10万冊以上のマンガが読めるのが当たり前でしたが、スタート当時の『ピッコマ』は80作品、出版社も日本文芸社さん、竹書房さんの2社だけという状況でした。スタートして1ヵ月、サービス全体の売上はアイフォンで1日200円、アンドロイドで0円…。これには、弊社が単行本単位の売り方ではなく“話売り”にこだわったことが壁になっていました」(金社長/以下同)
 さらにピッコマのプラットフォームには広告を入れないという他社とは違う方針を打ち出していた。一般的である広告ビジネスをなぜ重視しなかったのだろう。金社長は「広告ビジネスを否定しているわけではないのですが」と前置きをしてこう説明する。「私は韓国人ですが日本のマンガが大好きです。また私自身クリエイター寄りですので絵もお話作りも演出もできるマンガ家を尊敬しています。そんなマンガをしっかり“作品”として位置づけたかった。広告ビジネスだと、マンガが集客の“道具”として利用されているような違和感を覚えたのです」
■お手本は“街の本屋さん”「AIだけを使用するとどうしてもラインナップが偏ってしまう」
 次に“話売り”にこだわった理由は何か。「そもそもほとんどのマンガの形式が、雑誌での1話単位での連載で、それをまとめたものが単行本です。これを一気見する層もありますが、単行本を買うのは基本的にすでに“マンガ好き”で“その作品のファン”なんですね。私は間口を広げてマンガファンを増やしたかった。連載という形式の利点をいえば、好きなマンガ目的で雑誌を買うと、目的ではなかったその他のマンガも“見てみようか”となる。“経験”がスタートするわけです。それを毎週、毎月読むうちに“習慣”になる。“経験”し“習慣”になるうちにいつの間にか新たに自分が好きなマンガが見つかっているじゃないですか」
 スマホの登場によりエンターテインメントの多様化は加速した。テレビや映画だけでなく、You TubeやSNS、ネットニュースなど。スマホが手にあるだけで何らかの暇つぶしができる。その暇つぶしの一つに短時間で読める“マンガ1話分”を提案。コアなマンガ好き以外のライトユーザーを取り込もうとしたのだ。『ピッコマ』スタート当初、他の出版社には理解がされなかった。だがこれがヒットし、現在は多くのマンガアプリが“話売り”を模倣している。
 ほかに広く模倣されたサービスといえば、「待てば¥0」。これは1話読んで一定時間(ピッコマでは23時間)待てば続きの1話を読むチケットがもらえるというサービスだ。ユーザーがこれを続ければ、広告収入もないサービスなので、『ピッコマ』は永遠に収益ゼロ。何故このサービスに取り組んだのか。「別に新しいことじゃないんですよ」と金社長は笑う。
「モデルはゲームアプリの部分課金です。例えば『パズドラ』は、『ピッコマ』がスタートする3、4年前当時で1000億円の売上がありました。まずは無料で遊ぶ。その“経験”を経て楽しければ人は課金をする。つまり間口を広げて無料でサービスをしても、ハマっていただければユーザーはお金を払ってくれる。この従来の証明されたシステムをマンガアプリに導入しただけなのです」
 さらに特筆すべきは新たなシステム「TSシステム」だ。『ピッコマ』には優秀なAIシステムがあるが、オススメ機能でこのAIを使う比率は70%ほど。残り30%はピッコマ独自の「TSシステム」を使っている。「街の本屋さんを想像してください。本好きやマンガ好きの店員さんが棚を工夫するだけで売上が変わるのは御存知の通り。AIだけを使用するとどうしてもオススメに出てくるラインナップが偏ってしまいます。これを“手作業”で変えています。表紙もそう。新刊が出たら、アプリ内の表紙も新刊のものに“手作業”で変える。また、新刊や1巻目だけじゃなく30巻あれば30巻分、“手作業”で表紙をコロコロと変える。そうすることで興味を持ってもらえるんです」
 つまり「TSシステム」の「TS」とは“手作業”の頭文字。街の本屋さんの手法を導入したものだったのだ。
■『静かなるドン』が1日100万円の売上に 温故知新でマンガ界を豊かに
 まさに温故知新。昔からあるシステムを導入し組み合わせて新たな価値を生み出す。そしてこの方法で『ピッコマ』はその規模を大きくしていった。先述したようにコロナ禍でのマンガアプリの成長率は全体の約30%。『ピッコマ』はそこで約180%の急成長を遂げることができた。
 温故知新といえば、デジタルコミックならではの現象もあった。「最新の流行作品も置いていますが、素晴らしい作品は時代を超えるもの。弊社は新作や流行のもの以外にも目を向けました。例えば『静かなるドン』。非常に面白いのですが、古い作品のため、マンガアプリの流行りの外にいました。今までマーケティング的に誰も取り上げようとしなかったのですが、この作品をピッコマに入れたところ、1日で100万円の売上が出ました。若者ユーザーにも古き良き作品を“新しい出会い”としてリーチできる。それがデジタルコミックの強みでもあるのではないでしょうか」
 昨今は「ピッコミックス」というグループ会社で、オリジナルコンテンツの制作も開始している。普通、オリジナル作品はそのアプリ独占で他では読めないというのが売り。だが金社長は「作家さんというのは帰属させられるより、より多くの人に自分の作品を読んでもらいたいもの。ですから弊社ではその垣根を取り払いました」とマンガ家へのリスペクトを語る。
 そんな金社長の夢は、韓国や中国で主流となっている、フルカラー・縦スクロールマンガで「SMARTOON」作品が、マンガ大国日本から多く登場すること。「マンガは海外でもMANGAと呼ばれ独自のコンテンツとして人気です。その培われたノウハウをSMARTOONにも活かしていきたい。また、SMARTOONはマンガと一味違う魅力を持ち縦のスクロールでスムーズに読めるよう最適化されています。スマホで見やすいので、普段マンガを読まない人にも入りやすく、このSMARTOONから入った読者が次のマンガ好きに成長し、結果としてマンガ市場が大きくなっている。さらにはピッコマでその作品が気に入ったら“紙”の単行本も買ってくれるはずと考えています。私はその“循環”を重視しながらサービスを行っています。デジタルも、紙も、共存する豊かなマンガ文化を作っていきたいですね」
(取材・文/衣輪晋一)

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