和歌山市園部で1998年、4人が死亡し、63人が急性ヒ素中毒になった毒物カレー事件は、25日で発生から23年となった。事件が起きた夏祭り会場の跡地では、被害者の家族が献花した。
当時高校2年生だった長女がカレーを食べ、中毒で入院した杉谷安生さん(74)がユリやリンドウの花束を供え、「何年たとうと気持ちは変わらない。今も腹立たしさを感じる。被害者や事件のことは忘れない」と語った。杉谷さんによると、家族間で事件について話すことはほとんどないが、事件の報道を目にする機会があった際、長女は「もう忘れたい」と話す一方で、「動機を知りたい」と漏らしたという。
事件では、殺人などの罪に問われた林真須美死刑囚(60)の死刑が2009年に確定した。その後、林死刑囚は再審請求を行い、和歌山地裁、大阪高裁で棄却され、最高裁に特別抗告中だったが、21年6月に取り下げた。一方、林死刑囚は同5月、新たな再審請求を和歌山地裁に申し立てている。
「カレー事件被害者の会」の副会長を務めた杉谷さんは「(林死刑囚)本人が無罪を主張しているので動機は聞きようがない。だが、日本の法律家のトップの最高裁が有罪と決めた。その人たちを信じなかったら、我々は一体何を信じればいいんだ」とやるせない思いをにじませた。【山口智】
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