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 東京五輪に合わせて来日している国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長がきょう、広島市中区の平和記念公園を訪れる。原爆慰霊碑に献花し、原爆資料館を見学するという。コーツ調整委員長も被爆地の長崎を訪問する。
 一人でも多くの人に来てもらい、原爆の惨禍に触れてほしい―。被爆地の思いは、共通していよう。だが困惑している市民は多いのではないか。
 新型コロナウイルス禍が収まらない中、なぜ今、このタイミングでIOC幹部が広島、長崎を訪れるのだろう。五輪が「平和の祭典」であることをアピールするなら、感染の心配がない時期に来られたはずである。コロナ禍で強行する五輪に、被爆地のイメージを安易に利用するのだとしたら許されない。
 バッハ氏は8日に来日し、4度目の緊急事態宣言下にある東京に滞在している。広島県は県民に、宣言の対象地域との行き来を、最大限自粛するように求めているさなかである。
 感染を拡大させる懸念が残る大会の開催について、バッハ氏は「日本国民が恐れる必要はない」と述べ、五輪関係者と日本の住民を明確に隔離する措置を講じているとアピールしていた。その言葉とは裏腹に、早速、街を出歩く関係者の姿が報じられ、感染対策の「穴」が明るみに出ている。不安は拭えない。
 被爆地訪問に7月16日を選んだのは、国連で採択された「五輪休戦決議」の期間が始まる日だからという。IOC幹部がそろって被爆地に足を運び、スポーツを通じた平和の取り組みを訴える演出だろう。
 しかし、きょうは76年前、米国が人類史上初の核実験をニューメキシコ州で実施し、忌むべき核時代が幕開けした日でもある。それから間もなく、広島、長崎の市民の頭上に原爆が投下され、あまたの命が奪われた。
 そのことへ想像力を働かせるべきではないか。被爆地で平和を唱えたいなら、核兵器廃絶を呼び掛ける決意が求められる。
 高齢の被爆者とも会談するという。体験証言はぜひ聞いてほしいが、感染対策は万全なのか心配だ。コロナ下で、被爆者は対面での証言活動をできずにいる。多くの学校が修学旅行の延期や中止を決めるなど、聞く側も会うのを取りやめたり、オンラインに切り替えたりして自粛している。そんな中、バッハ氏の特別扱いには違和感も残る。
 バッハ氏の広島訪問中止を求める市民のネット署名も広がっている。反対の声を押し切ってまで来るなら、核が人類にもたらした悲惨から目をそらしてはならない。今後は、核保有国では五輪を実施しないと、被爆地で明言するくらいの覚悟があってもいいはずだ。巨大ビジネスと化した五輪を、真に「平和の祭典」に変えることを、被爆地で誓ってほしい。
 核兵器廃絶について踏み込んだ発言をできるのか、被爆地訪問を今後の五輪運営にどう生かすのか。被爆地の内外で、核なき世界を求める人々が、厳しい視線を注いでいることを、忘れてはならない。 
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