夢も、恋も、何もかもあきらめた日々を過ごすだけのある日、母親の友人から写真を撮ってほしいと頼まれた立花は、撮影を通して、忘れていたカメラを構える喜びを思い出す。もう一度やり直そうと、上京して、住み始めたシェアハウスには、立花と同じようにがむしゃらに働いて挫折をした人生の敗者が集まっていた。住人たちと過ごす時間の中で、「心より欲しているものは何か」を見つめ直そうとする物語。
玉山は「『やればできる』、『努力すれば必ず夢はかなう』、大人たちに教わったこの言葉で、苦しんだ人たちは少なからずいると思います。なぜ『今はちょっと、ついてないだけ』と言ってくれなかったのかと。人生に惰性や楽観を生み出せる事も人間の強さ。今、こういう社会だからこそ、セカンドチャンス、人生の敗者復活戦があっても良いと思います。観ていただいた方々から『少し肩の荷がおりた』と言っていただけるような作品になればと思います」と、コメント。
深川が演じるのは、シェアハウスの住人の一人、瀬戸寛子。美容師に関するいくつもの資格を持ち、ヘアメイクもできる美容部員として働いていたが、人づきあいが下手で美容サロンをリストラされてしまう。立花が出ていた番組が好きだった、という役どころ。
「生きていると、誰しも日々いろいろな出来事に直面すると思います。楽しいことばかりではなく、思わず後ろ向きになってしまうことや、もしもあの時に戻れたら…。という後悔を持つことも。この物語は、過去を見て見ぬふりをしたり、無かったことにして前に進むのではなく、本当の意味で今までの自分を受け入れて、人生を歩んでいく勇気をそっと分けてくれるような、そんなあたたかいお話です。皆さまの人生にそっと寄り添えるような映画になりますように」と、話している。
本作の監督・脚本は、『流れ星が消えないうちに』、『パーフェクトワールド 君といる奇跡』などで注目される気鋭の柴山健次監督。原作の中、主人公にさりげなくかけられた母からの言葉「今はちょっと、ついてないだけ。そのうちいい運がやってくるよ」に心が震えたという柴山監督は、「この物語の登場人物たちは人づきあいが下手だったり、時代についていけなかったりと、うまくいかない人生に対して、『どこで判断を誤ってしまったのだろう?』、『自分の望んで来た幸せはこれだったのか?』という思いにさいなまれている。しかし、この言葉によって、これまでの時間は肯定され、次の一歩を踏み出す勇気を得ることになるのではないだろうか」と、本作の製作に至る思いを語っている。
アニメーション映画『泣きたい私は猫をかぶる』の監督で、本作の柴山健次監督の実兄・柴山智隆によるイメージボード(画)も公開された。
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