老舗和菓子屋 

老舗和菓子屋 若き4代目の奮闘、街の希望に 九州豪雨1年


店の再開に向けて準備を進める田代信二さん(右)と啓介さん(中央)親子。左は母知子さん=大分県日田市で2021年6月23日午後3時50分、河慧琳撮影
 昨夏の九州豪雨で大きな被害を受けた大分県日田市天瀬町の天ケ瀬温泉街に店を構える老舗の和菓子店「田代屋」が、7月末の再開を目指し準備を進めている。3代目の田代信二さん(58)は半壊した店の再建を一度は諦めかけたが、長男の啓介さん(32)が店を継ぐと決意し、今春、修業先から戻ってきた。温泉街を流れる玖珠(くす)川の氾濫から7日で1年。若き4代目の奮闘する姿が、傷ついた湯の街に希望を与えている。
 1年前の7月7日午前8時ごろ、玖珠川の氾濫で、3階建ての田代屋の店舗兼自宅の1階にも濁流が流れ込んだ。2メートル近く浸水し、浮き上がった冷蔵庫が「ガコン、ガコン」と音を立てて天井を突き破った。シャッターは押しつぶされ、窓ガラスは砕け散った。和菓子作りに使う機械も壊れ、被害は約1000万円に上った。
 「店を畳もうと思う」。岐阜県の老舗和菓子店で修業していた啓介さんに、父親がそう伝えたのは、豪雨から2カ月がたったころのことだった。店の再建や機械の購入にお金をかけても、この先夫婦で何年店を続けていけるのか、自信がなかった。それに対し、啓介さんは迷わず決めた。「俺が継ぐ」。もう少し先だと思っていたが、いずれ店を継ぐつもりだった。今がその時だと思った。
新商品のどら焼き「あまどら」を試作する田代啓介さん=大分県日田市天瀬町で2021年7月2日午後2時9分、河慧琳撮影
 とはいえ、親子にとって勇気のいる決断だった。被災した旅館や店のほとんどはいまだに再開できていない。新型コロナウイルスの影響も追い打ちをかけ、温泉街の客足は遠のいたままだ。それでも「被災した天ケ瀬に貢献したい」と啓介さん。信二さんも「不安はあるがやるしかない」と語る。当面は父親も一緒に和菓子を作るが、いずれ独り立ちすることになる。
 7月に入り、地元の日田杉を外壁に張った真新しい店で開店準備をする啓介さんの姿があった。従来の看板メニューのそばまんじゅうやようかんに加え、玖珠川で人気のアユ釣りから着想を得た、アユの姿をした和菓子「鮎(あゆ)焼き」や、「天ケ瀬」から名前を取ったどら焼き「あまどら」など5種類の新商品を考えた。一方で豪雨前、和菓子と一緒に販売していた土産物は扱わないことにした。和菓子一本で勝負するとの覚悟の表れでもある。
 「店を目当てに来る人たちを増やせれば、天ケ瀬の復活につながるはず」。信二さんの祖父進さんが1953年に創業してから間もなく70年。老舗の4代目となると決めた32歳の決意がにじむ。【河慧琳】
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