福岡市早良区の西新小(石橋省吾校長)を訪ねた。玄関には韓国の児童がかいた絵が飾ってあった。職員室などの入り口の案内板はハングルでも書かれている。校長室には、日韓両国の国旗が仲良く並んでいた▼8年前、釜山市の
南
川
チョン初等学校と姉妹校になった。毎年、児童や先生たちが訪問し合っている。これまでに児童109人を迎え、86人が釜山に行った。お互いの授業を体験し、ホームステイして交流を深めてきた▼ことし1月にやってきた26人の子どもたちは、習字や生け花なども体験した。ホームステイした子は、帰るとき別れがつらくて涙を流したという。西新小の児童も同じだった。「また会おうね」「ウン、きっと会えるよ」▼本当なら、きょうから4~6年生の37人が出発し、再会できるはずだった。「延期してほしい」というファクスが届いたのは10日前のこと。パスポートを受け取ったその夜に中止を知らされ、泣いた子もいる。こんどの涙は、もっとつらい▼歴史教科書問題で「交流中止」の知らせを受け取ったのは、西新小だけではない。毎日のように、九州のどこかの小学校、中学校、高校などに届いている。こんなに多くの学校が交流していたのか、と驚くほどだ▼日本と韓国は、互いの国のことを、そこに住む人のことを、肌で知った子どもや若者が、新しい関係を築く時代がいずれ来る。児童の涙の意味をみんなで考えたい。(2001年7月19日)
Related Keywords