Amazonでの買い物を「もっといい体験」に:ネット通販を"ハック"する起業家たち : vimarsana.com

Amazonでの買い物を「もっといい体験」に:ネット通販を"ハック"する起業家たち


2021.07.09 FRI 07:00:22
Amazonでの買い物を「もっといい体験」に:ネット通販を“ハック”する起業家たち
いまやネット通販の巨人となったAmazonだが、その買い物体験には改善の余地がある──。そう考えたふたりの起業家が、ネット通販のあり方を再構築すべく動き出している。Amazonを“ハック”することで過去に購入した商品をAmazonで売るコンセプトアプリや、もっとサステイナブルな配送といったサーヴィスは、いかにかたちになっていったのか。
TEXT BY LAUREN GOODE
お知らせ:Thursday Editor’s Lounge
7月15日(木)のゲストは緒方壽人(Takram デザインエンジニア)
次回のテーマは「『コンヴィヴィアル・テクノロジー』入門:「ちょうどいい道具」とは何か?」。新著でイヴァン・イリイチが提唱した「コンヴィヴィアル」(自立共生)の可能性をアップデートし、2020年代を取り巻くテクノロジーの景観の中で他者や自然と共に生き生きと(コンヴィヴィアルに)生きる人間の在り方を構想する緒方をゲストに迎え、“コンヴィヴィアルテクノロジー”の可能性を掘り下げる。詳細はこちら。
ローレン・グッド
『WIRED』US版シニアライター。製品やアプリ、サーヴィス、一般消費者向けの技術やトレンドを担当。「The Verge」「Recode」「AllThingsD」『ウォール・ストリート・ジャーナル』を経て現職。クラーク大学とスタンフォード大学を卒業。サンフランシスコのベイエリア在住。
ネット通販の巨人であるアマゾンは2015年、20歳になった多くの若者と同じように創業20周年を祝った。盛大な“ガレージセール”を開いたのだ。
20歳の若者なら、ガレージセールを開いて誕生日を祝ったりなどしないかもしれない。だが、アマゾンが初めて「Amazon Prime Day(プライムデー)」を開催した理由は、節目となる創業記念日を祝うと同時に、「お客さまのためにイノヴェイションを続ける」ためだったのだと、同社は公式ブログで説明している。
ところが実際のところプライムデーは、巧妙な企画だった。なにしろアマゾンが過剰在庫を解消すると同時に、ブラックフライデーやサイバーマンデーに匹敵するほどのショッピングホリデーをつくり上げたのだ。
そしてまた今年もプライムデーが始まり、そして終わった。1年前の米国では新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が引き起こしたパニックの関連商品が多く買われたが、今年はそれがバーベキューセットや夏休み用の日よけに取って代わられた。
OXOのディッシュブラシや、子どもが欲しがっていたスポーツ用品をバーゲンで買った人もいるだろう。いまはこうした人たちについてあれこれ言うには、ふさわしい時期ではないかもしれない。
しかし、相手がアマゾンなら問題はない。それはなぜか。Amazonで買い物をすることが、「もっといい体験」になる可能性があるかもしれないとしたらどうだろうか。あるいは、創業から30年近くになるアマゾンが“人生”における心境の変化を経験し、客がもっと物を買うことではなく、客が物を処分することを手伝いたいと考える可能性もあるかもしれないとしたら──。
実験的なデザインを手がけるスコット・アムロンが制作したコンセプトアプリ「Amazon After」は、こうした高い理想に基づいて生まれた。これまでにアムロンは、噴水式の水飲み場と歯ブラシを組み合わせたような製品から優雅な冷蔵庫用マグネット、はては溶けて石鹸になる果物用のラベルといった具合に、さまざまなコンセプトを生み出してきた人物である(大企業のデザインも手がけている)。
Amazon.comはアマゾンのプライヴェートブランド商品と出品者の商品が混在していて、わかりづらいというもっともな批判も世の中にはある。だが、アムロンはAmazonでの購買体験をそっくりつくり直したいと考えているわけではない。Amazonで買った商品をAmazonで再販売する方法をつくり直したいだけなのだ。
Amazonで買い、Amazonで売るための仕組み
きっかけは6年ほど前、アムロンと妻へのプレゼントとして未使用のコーヒーメーカーがAmazon経由で送られてきたことだった。このときアムロンは、「Amazonで買ったものを売ったり寄付したり、リサイクルしたり、さらには貸し出したりして、自分の物が埋立地に捨てられないようにする新しい方法」について考え始めたのである。
そしてモノのインターネット化が加速したことが、アイデアの具現化につながった。何もかもがネットにつながる状態が避けられなくなれば、多くの製品がアプリと連携するようになる。製品の寿命や使用状況、さらには場所までも把握することも、それほど難しくはないだろう。そこでアムロンが思いついたのが、この新品同様のコーヒーメーカーが使われていないことを認識し、その再販価値を把握し続けるアプリだ。つまり、コーヒーメーカーを極めて簡単に再販売できるアプリである。そして、その再販の場となるプラットフォームがAmazonだったら、どうだろうか?
こうしてアムロンはAmazon Afterの開発に着手し、つい数カ月前に公開した。このコンセプトアプリは「After」の文字の下にあるスマイルマークの矢印に至るまで、現在のAmazonアプリの見た目と雰囲気をそっくりまねている。コンセプトはこうだ。あなたが何を所有しているかを、Amazonはすでに知っている。あなたの購入履歴と閲覧傾向の両方に基づいた驚くほど膨大なデータを、Amazonは収集しているからだ。
だが、Amazon Afterのようなアプリは同じデータを使って、あなたが買ったものを再び売ることを手伝う。このコンセプトアプリは、あなたがこれまでにAmazonで購入したすべての商品の価値の合計を表示し、「Afterlife(余生)」の選択肢を提案してくれるのだ。
商品を売りに出す前でも、ほかの人が買い取り価格を提示できるので、それをきっかけに売ろうと思うかもしれない。あるいは、「Alexa、わたしのコーヒーメーカーを売って」と言えば、自分の代わりに売りに出すようにAlexaに命じることもできる。
このアプリはお買い得な中古品を探している人のみならず、買ったものをできるだけ高い金額で売ることにそれほど興味がない人たちにも役立つはずだとアムロンは考えている。「(そうした人々は)物が処理場に行かないことを知りたいだけなのです」と、アムロンは言う。また、Amazonは客の購買情報に基づいて、すでにアップセル(より上位の商品を提案)しているとアムロンは指摘する。アムロンが思い描く“もっと賢いAmazon”は、そのデータをアップセルではなく中古品の販売に利用するのだ。
ちなみにAmazon Afterのアプリは、まだ公式にはダウンロードできない。アムロンのサイトに登録すれば、Amazonが公開を認めてアプリが正式リリースされた際に通知を受け取ることができる。
ただし、アムロンのコンセプトには明らかな欠陥がある。Amazonで購入した商品の下取りと再販売は、厳密に言えばすでにAmazon.comで選択肢になっているのだ。実際にAmazon.comは2011年から下取りプログラムを実施してきた[編註:日本のAmazon.co.jpでは外部企業と提携して「買取サービス」を提供している]。ただし、下取りできる商品のカテゴリーは限られている。対象はスマートスピーカーの「Amazon Echo」シリーズや電子書籍リーダーの「Kindle」、Bluetoothスピーカーとヘッドフォン、特定のメーカーのスマートフォンやゲーム機などだ。代金は「Amazonギフト券」で支払われるので、ユーザーはさらにAmazonで買い物することになる。下取り対象外の製品なら、アマゾンに送ればリサイクルしてもらえる。
また、米国のAmazonはいくつかのカテゴリーで、「専門家によるチェック」を受けたリファービッシュ品(再生品)も販売している。ただし、この「Amazon Renewed」の出品者になるには申請が必要だ。買う側としては、再生済みの商品は必ずしもお買い得とは限らない。例えば、クイジナートのステンレス製パーコレーターは、「Amazon Renewed Store」で69.95ドル(約7,600円)で販売されている。これは「Walmart.com」の新品の価格と同じで、Macy’sのサイトで同じパーコレーターの新品を買うよりも4セント(約4円)安いだけだ。
アムロンの提案とは、どちらかといえばAmazonの“eBay化”である。承認された出品者だけでなく、Amazonのユーザーなら誰でも膨大な不要品を互いに処理し合えるピア・ツー・ピアのネットワークをつくることなのだ。
このコンセプトアプリにアマゾンの幹部は関心を示したものの、Amazonにこのアプリの機能が実装されるかどうかはわからないという。「個人的な経験では、“刺激”を与えなければ何も起きません。だから、コンセプトをさらに具体化したのです」と、アムロンは語る。彼は将来的に、このアプリを一般公開するかもしれない。そうなれば、ユーザーはAmazonでの購入データへのアクセスを許可する必要があるだろう。
配送をもっとサステイナブルに
アムロンは、Amazonは商品の再販においてもっとうまくやれるはずだと考えている。これに対してネイト・ファウストは、もっと賢く配送できるはずだと考えている。
「Jet.com」の共同創業者でのちにウォルマートに売却したファウストは、オンラインショッピングを減らすことをすすめているわけではない。購買体験を改善するために彼が思いついたことは、Amazonがまだ支配していない分野に狙いを定め、その分野の商品の配送をよりサステイナブルなものにすることだった。
Amazonは北米ではネット販売の小売り業者のなかで圧倒的な首位に立っている。だが、それでもAmazonの売上は米国のネット販売の売上全体の半分にも満たず、ほかの小売業者が売上全体の60%から70%を占めていると、ファウストは指摘する。彼は新たな物流会社であるOliveを立ち上げるにあたり、Amazonで通常は販売していないファッションブランドやアパレルブランドと提携し、持続可能な新しい配送モデルを試みることを目標に掲げた。
Oliveは、商品をばらばらに配送したり、いくつものダンボール箱で届けたりすることがないように物流を仲介する企業だ。さまざまな商品を自社の倉庫に集約し、再利用可能な輸送用パッケージにまとめて入れ、米国郵政公社(USPS)経由で発送する。OliveはiOSアプリを提供しているが、ほとんどの人がブラウザーの拡張機能としてOliveを利用するか、最終的にほかの小売店のサイトで購入する際のオプションとして選択するだろうと、ファウストは考えている。
複数の商品をまとめて配送するだけで、特にラストマイルの場合は二酸化炭素の排出量を商品ひとつにつき最大30%削減できるとファウストはみている(なお、サプライチェーンのイノヴェイションにより、どんな場所からのラストマイルでも排出量は数年以内に17%から26%削減できるとの試算もある)。
またファウストは、商品を受け取りたい曜日を1週間のうち2日間設定できるAmazon.comのプライム会員向け無料配送オプション「Amazon Day」よりも、複数の荷物をまとめて配送日を設定するOliveのやり方のほうが、最終的には魅力的な選択だと考えている。ファウストの経験では、Amazon Dayは必ずしも説明通りには機能しなかった。特にサードパーティの出品者が販売している商品でAmazonの物流センターを通っていない場合は、その傾向が強かったという。

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