<書評>『80歳、歩いて日本縦断』 列島に「平和」の種まく
2021年6月27日 15:00
本書は、2018年7月3日から19年6月25日まで共同通信社が配信した連載「石川文洋80歳 列島縦断あるき旅」などを土台に、新日本出版社から発刊されたもので、歩き旅ならではの出会いや気づきに満ちた、3500キロの旅の物語である。Tシャツやリュックには「基地のない沖縄を!」「核兵器廃絶」「戦争のない世界」というスローガンだから、普通の旅人でないことは一目で分かる。
北海道からの旅は、徒歩の旅でないと見えない、美しく癒やされる自然に接する一方、東日本大震災の福島のように、人災ともいえる原発事故が重なる地域にも足を踏み入れた。双葉地区では、防護服を着て人気のない未帰還区域から東電第1原発を眺めたこともふれている。南相馬では、憲法研究者鈴木安蔵たちがまとめた「憲法草案要綱」が現在の日本国憲法の土台になっていることを知らされたという。焼津では、マグロ漁船「第五福竜丸」の「ビキニ事件」にも詳しくふれているが、若い人たちにも学んでほしい。
著者は、旅の節々でふる里沖縄への思いをはせている。今日的な辺野古埋め立ての賛否を問う「2・24県民投票」はもちろんだが「薩摩の侵略、琉球併合、沖縄戦、1952年のサンフランシスコ条約発効でアメリカの施政下に置かれたことなど、沖縄の民意が無視されてきた歴史が根底にある」とし、「日本の戦争責任」についても「アジア・太平洋戦争の総括を行っていない」と厳しく指摘しているが、筆者も同感である。これは日本の未来を開く大切な視点であることから、読者におかれても、日本の近現代の歴史認識について、共有をお願いしたい。
今回の旅の成功は「再会」したい人と「待って」いる多くの知己の存在が大きかった。3月10日、著者は旅中の相生市で81歳の誕生日を迎えた。振り返れば、石川文洋は列島に「平和」の種をまきながら、不滅の足跡をしるしたことが分かる。今回の壮大な「旅の記録」は、旅の文献に列することになるだろう。多くの人々にお勧めしたい本である。
(石川元平・元沖教組委員長)
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