自立した言語学習のために施設充実
――神田外語学院は神田外語大学とともに、神田外語グループの中核教育機関です。グループの理念として、「言葉は世界をつなぐ平和の礎」を掲げています。
初代学院長の佐野公一と妻で第2代学院長になるきく枝は、1945年8月の終戦を東京・上野で迎えました。一面の焼け野原を見ながら、争いごとは武器では解決しない。外国人とコミュニケーションができれば解決できるはずだ。その基となる外国語を教える学校をつくることで次代を担う若者たちを育てようと誓ったのが、本学創立のきっかけでした。
ですから、本学は語学力の習得を最終目標とはしていません。自ら学び続け、文化的、宗教的背景が違う人ともきちんとコミュニケーションが取れ、相互理解できるような人材を育成していくことを目指しています。生涯にわたって学び続けることができる人材こそが、真の意味で国際社会で活躍できる人材だと考えています。
――学びの特徴について、教えてください。
「英語ともう一言語」、もしくは「英語と専門スキル」をダブルメジャーで学べるようにしています。コミュニケーションツールとしての語学を学ぶことが本学の教育の根本ですので、学生の皆さんには自ら学ぶ姿勢を培ってほしいと考えています。そこで、「自立学習」をテーマに掲げた施設のVISTA(Village of Innovative Study and Training Access)を開設しています。
英語でディスカッションができる個室やプレゼンテーションを練習できるブース、静かに集中して学習ができる自習スペースなど、目的に応じて活用でき、2年間で楽しみながら自分に合った学習習慣を確立することを目的に設けました。年間を通じてイベントも行われ、各国からの留学生と自由に会話できたり、教員の半数近くいる外国人教員と一緒に料理を作ったりするスペースがあり、言語学習の一環として食文化も学べます。英語と七つの言語コースの教員たちが言語学習のサポートもしています。
――卒業後の進路も多彩です。
系列校の神田外語大に3年次・2年次編入学、1年次推薦入学ができる枠が約100人分あるほか、東洋大や駒沢大、南山大、龍谷大、清泉女子大など全国に26校約120人分の推薦枠もあります。国公立大に編入学する学生も多く、東北大や名古屋大、北海道大、東京外国語大といった難関国立大への実績もあります。
海外大では、カリフォルニア州立大フレズノ校、同ノースリッジ校などと提携しています。さらに、中国や韓国、フランスなどの大学との連携教育プログラムがあり、一定の基準を満たした学生は編入学・進学ができます。
就職希望者へのキャリア支援にも力を入れています。金融や不動産、旅行、航空、ホテルなど業種別の専門スタッフが常駐し、個別のカウンセリングを行っています。本学は2年間で4年制大学以上の卒業単位を修得するカリキュラムを組んでおり、そうした濃密な教育が企業の高い評価にもつながっています。今年3月卒業生の就職内定率は、コロナ禍で採用を見送る企業も増える中、98・4%となりました。
――外務省の在外公館派遣員を目指そうという学生向けに、神田外語大が開講している特別講義も受講できるそうですね。
本学は2022年に創立65周年を迎えます。アフターコロナも見据え、これまで培ってきた語学を通じた教育をベースに、グローバル社会の進展に対応できる多彩な人材を輩出していきたいですね。